無職にとっての大きな壁。
平日の昼に外出しにくい。
ご近所さんに見られる。
いや。気にしてるのは僕だけなのかもしれない。
でも見られている気がする。
別にどんな目で見られてもいい。
一番の問題は平日の昼間にフラフラしてはいけないと考えている自分の考え方だ。
自分の当たり前が一番大きな壁かもしれない。
静かに歩く男。
僕は足音を出さない。
限りなく忍者に近い。
なぜどんどん足音をたてて歩くのだろうか。
自分の存在をアピールするためだろうか。
優しさの問題なのか。
気遣いの問題なのか。
育ちの問題なのか。
それとも個人の感覚の問題なのか。
人が家に来る度に思う。
一体どこで違いが生まれるのだろうか。
自分の足音について考えることは一生ないのか。
下の階にいる人のことを考えることはないのか。
同じく歩くなら静かに歩こうとは思わないのか。
でも文句を言うことはない。
考えているだけだ。
10代だったら男らしく足音を立てる歩き方に魅力を感じたのかもしれない。
でも今はそんなことすら思わない。
こんな無駄なことを考えないで過ごせるのは有意義なのだろう。
それでも僕は静かに歩く。
みんな晴れ舞台が好き。
今日は成人式です。
華やかな振袖を着た女の子をいろんな場所で見ました。
ここぞとばかりに着飾る。
わかるよ。
一生に一度だもんね。
でもね。
キャピキャピしてる君達の横にいる、いろんな経験をしてそうな30代の仕事中っぽい女性があなた達を見る目を見てごらんよ。
すごく冷めているから。すごく。
どんな気持ちでそんな目をしているんだい。
どんな辛いことがあったんだい。
つい聞きたくなってしまいました。
僕らは晴れ舞台が好きです。
七五三・成人式・結婚式。
特別な日を作って勝手に盛り上がります。
自分たちの作ったルールを盛り上げるために。
多くの人に与えられた普遍的な人生のスパイス。
だいたい同じような味に仕上がります。
そんな成人を迎えた人達を見て、決められたスパイス配合ではなく自分の決めたスパイス配合で人生を調理したいなと思うのでした。
さ。無職の日でも作りますか。
今僕が抱えている問題とAI化について語りたい。
僕には大きな問題がある。
その問題とはズボンだ。
ズボン。いや。
ジーンズだ。
なにを隠そう今ハードに履いているジーンズのチャックが自動的にオープンするのだ。
自動だ。
それはわかる。
今後数十年間で、今の仕事の50%は機械に取られてしまう時代だ。
いつかチャックが自動的にオープンする時代が来るかもしれない。
「開け」
と一声かければ自動的にオープンする。
便利かと問われれば便利だ。
「閉まれ」
と言えば自動的にクローズする。
アリババと40人の盗賊もびっくりだ。
おまけに閉め忘れ防止機能も付いている。
「オープンしたまま5分が経過しました。大事なこと忘れていませんか?」
スヌーズ機能だ。
これで社会の窓が全開で恥ずかしがる心配はありません。
素敵な社会ですね。
めでたしめでたし。
そんな事はどうでもいい。
要するにどうすればチャックが開かなくなるか。
それが問題だ。
キレながらなにしたらウケる?
怒りぽっくなった。
こんなにイライラすることはなかったのに。
一度火がつくと止まらない。
些細なことで。
ティッシュぐらい燃えやすい。
いやむしろ着火剤。
こりゃやばい。
怒ってお金がもらえる仕事した方がいいかもしれない。
キレ屋。
居酒屋「怒りん坊」とかもいいかもしれない。
うーん。どのタイミングで課金してもらうかがポイントですな。
1,000円チャージ毎に1キレです。
中途半端なキレ方だとダメですな。
ウケる動きをしながらキレるとか、すげー笑顔でキレるとか、脱ぎながらキレるとかもいいかもしれない。あ。キレながら歯を磨くとかも悪くはない。
とりあえずわかっていることは事業化への道は長いということです。
そっちの世界に行くのは案外簡単だな。
いくらでも家の中にいれる。
一週間ぐらい一歩も出ないとこもあった。
さすがに思った。
やばい。
何がやばいんだろう。
どうせ働いてないから何も変わらないのに。
やばいと思わせてるのは周りの空気なのかもしれない。
でも家から出ないと自分が深い森に迷い込んでいくような錯覚に陥る。
自分の気持ちが日を追うごとにやばい状態になっているのをわかっているんだけど、それに気づかないふりをする自分。
もしかしたらドラッグにのめり込むのもこんな感じなのかもな。と思う。
「まさか自分がこんな状態になるなんて思わなかった。」
「そんな人に見えなかった。」
よく聞くセリフだよね。
結局そう思ってる人も、そう見ている人も同じ人間だよ。
そっちの世界に行くのは案外簡単だな。
そう思った。